2009年5月3日(日)〜5日(火) に行われた 第19回世界コンピュータ将棋選手権に参加しました。
■使用マシンのスペック
CPU : Core2 Extreme QX6700 (2.66GHz)
Memory : 2GB
OS : WindowsXP Professional
※去年・一昨年と同じマシンです。(泣)
■K-Shogiのバージョン:K-Shogi 2.7.00
■自戦記
去年からの変更点で効果が大きかったのは、以下の2点でした。
・浅いPVでは全幅で探索する。(ただし、指し手評価が低い手は浅くしか読まない)
・末端の延長を少なめにした。
去年のバージョンとの自己対局の勝率は、直接は調べていないのですが、間に2.6.00をはさんで、
・2.5.00(去年のバージョン) → 2.6.00 140勝85敗(勝率:62.2%)
・2.6.00 → 2.7.00(今年のバージョン) 269勝231敗(勝率:53.8%)
でした。
これに加えて、コンパイラのPGO機能で10%高速化しています。
2.6.00 → 2.7.00の勝率は選手権後に計測しました。勝ち越した改良のみ採用してきたものの 遡って自己対局すると負け越すということをこれまで何度も経験してきたため、 今回も勝率が下がっているのではないかと思われたため、選手権前に調べる勇気がありませんでした。 (負け越したとしても最新バージョンで参加したでしょうから。) 勝ち越せてほっとしました。(これまでの改良時に調べたの勝率からすればもっと勝率が上がっても不思議ではないのですが。)
今年は強豪が多く、決勝進出は絶望的だったですが、せめて去年よりは順位を上げたいと思っていました。
※以下の棋譜表示には、Kifu for Java V2.33 を使用させていただいています。
1回戦 先手:文殊 後手:K-Shogi
文殊は8コアのPC×3台で参戦されていました。今選手権で1番のハイパワーマシンではないかと思います。
Bonanzaライブラリを使用されており、評価関数に乱数を入れたBonanzaを6本のBonanzaを動かし、多数決で差し手を決定する仕組みだそうです。
それぞれのBonanzaは4コアを使用しているそうです。
4コア単体のBonanzaに勝ち越しているそうで、この方法で強化できるのであればマシンパワーを
増やすことで機械的に強くできることになります。
また、直前のFloodgateでのレーティングが非常に高く、注目を集めたプログラムでもあります。
Bonanzaに勝ち越しているとのことで、対局開始前からあきらめモードでした。(笑)
試合は中盤まではどちらが良いか良くわからない局面で、粘りましたが、
その後は文殊優勢で進み162手でK-Shogiは投了しました。
0勝1敗。早くも裏街道入りの予感。
2回戦 先手:竜の卵 後手:K-Shogi
竜の卵は決勝の常連で、強いプログラムです。
過去の対戦成績では1勝3敗でした。
将棋は序盤に飛車角を交換し飛車を持ったK-Shogi有利では?との竜の卵の作者さんの話もありましたが、 竜の卵の安定した攻めで、良いところなく負けました。 0勝2敗。裏街道入り決定?
3回戦 先手:K-Shogi 後手:臥龍
臥龍の作者さんはスタッフでもあり、ブログの情報によると
朝ログインしてから9戦終わるまで完全自動運転だったそうです。
将棋は45手の割り銀から、うまく攻めに入れました。 59手のそっぽへの金打ちはもったいなかったですが、その後も順調に攻めて行き、 96手で臥龍が投了。ようやく1勝できました。1勝2敗です。
4回戦 先手:A級リーグ指し手1号 後手:K-Shogi
A級リーグ指し手1号はFPGAで組まれた将棋ハードウェア(?)です。
今年はメーカーからFPGAボードの販売店から上位の高速なチップFPGAボードを無償で提供されているとのことです。
また、評価関数はBonanzaメソッドの学習に成功されており、かなり強化されているようです。
K-Shogiをスパーリングに使用されているとのことでK-Shogiに最適化されているかも。とのことでした。
将棋は96手あたりでは評価値は-500程度になっており、K-Shogi優勢と判断していますが、 その後、1枚1枚守りの駒をはがされ、評価値もどんどん悪くなっていきます。 202手でK-Shogi投了。
本当にK-Shogiに最適化されているのか?!
1勝3敗で、完全にあきらめモードです。
5回戦 先手:K-Shogi 後手:ゆめき
ゆめきはいろいろと新しい試みもされているようで、
この1年でだいぶ強くなったようです。
Floodgateでも1500オーバーになっており、一次予選通過確定レベルでした。
いろいろとトラブルはあったようですが、5勝2敗で2次予選に進出してきました。
定跡を抜けた直後の33手目で若干K-Shogi有利でスタートしました。 その後、攻められますが、しっかりと対応し、評価値も増加していきました。 ゆめきの攻めが切れた113手目から反撃を開始し、126手でゆめき投了。 2勝3敗となり、少しほっとしました。
6回戦 先手:K-Shogi 後手:山田将棋
山田将棋は並列化+Core i7の最新マシン(+クロックアップ)で望まれていました。
PCの自作に初挑戦されたとのことでしたが、
PCケースが私と同じANTEC SOLOでした。重いですが、なかなか良いケースです。
私も来年はニューマシンで参戦したいです
将棋は評価値は若干K-Shogi有利で終盤まで進みましたが、 実際には107手辺りまではどちらが優勢か良くわからない状況でした。 山田将棋の108手の1八飛打ちが狙いの良くわからない手で、 一気に評価値が跳ね上がりました。 116手で山田将棋、投了。 3勝3敗で五分まで戻しました。
7回戦 先手:K-Shogi 後手:SPEAR
SPEARとは棋力が近いせいか良く当たります。
前日に作者のライエルさんと多分当たるでしょうと話をしていましたが、案の定当たりました。
SPEARは今回から学習に切り替えたとのことです。 学習にすると(Bonanzaと同じく)穴熊に組むことが多くなるそうですが、 ライエルさんは穴馬が好きではないとのことで(勝ちを目指すよりも負けないことを目指す姿勢が)、 学習はやめようかなあとおっしゃっていたのが印象的でした。
将棋はあまり見たことがない形から始まり、2手で定跡から外れてしまいました。
3手目で評価値は若干K-Shogi有利となりました。
SPEARは穴熊に組みましたが、守りの金銀は1枚づつで金が微妙なところにいます。
その隙を突き、61手辺りから、一気に評価が上がりました。86手でSPEAR投了。
4勝3敗で勝ち越しました。かなりほっとしました。
8回戦 先手:きのあ将棋 後手:K-Shogi
きのあ将棋とも棋力が近いせいか毎年良く当たります。
すごくでかいマシンで参加されていました。
しかし、並列化はしていないとのことです。もったいない。
将棋は若干K-Shogiの駒得で進み、 96手目では評価値は-548(K-Shogi有利)まで行きましたが、 その後、王様を丸裸にされてしまい、114手目では評価値は-152まで 戻されてしまいました。 しかし、その後、持ち駒の多さで反撃し、 最後は残り時間が少なくなりましたが、 169手で、きのあ将棋、投了。 5勝3敗となり、勝ち越しが確定し、かなりほっとしました。 かなり厳しい条件ですが、次を勝てば決勝の目もあるとのこと。 ここまで来れれば十分といった気持ちですが、せっかくなので最後は勝って終わりたいところです。
9回戦 先手:K-Shogi 後手:Blunder
ここまで5勝3敗同士でBlunderとあたりました。
お互い勝てば決勝進出の目があるかもという場面です。
BlunderはBonanzaメソッドを使用した学習をされています。
今回初参加で、開発期間は1年と少しだそうで
やはり、学習を使うと短い開発期間でも強くできるということでしょうか。
また、C#で作られているそうで、話を聞くと、便利で作りやすくスピードもCやC++に比べて
それほど悪くないそうです。これも開発期間が短くできた理由のひとつかもしれません。
私もちょっとしたツールはC#で作ったりしていますが、処理スピードの要求される将棋には
どちらが良いかはっきりとは言えませんね。
Floodgateでは1700ぐらいのレーティングですが、あまりスペックの高くないマシンで参戦されているとのことです、
選手権ではコア数含めて4倍ぐらい早いマシンで参加されていました。(だまされた。。。(笑))
将棋は玉を囲う前に戦いが始まってしまいました。(いつものことですが。)
100手ぐらいまではどちらが良いか良くわからない状況でした。
その後も良くわからないやり取りが続きますが、評価値的には次第に上がっていきました。
160手でBlunder投了。
5連勝で6勝3敗となりました。
■二次予選の結果 (24チーム/上位5チームが決勝へ)
1回戦 | 2回戦 | 3回戦 | 4回戦 | 5回戦 | 6回戦 | 7回戦 | 8回戦 | 9回戦 | 結果 | 順位 |
文殊 × | 竜の卵 × | 臥龍 ○ | A級リーグ指し手1号 × | ゆめき ○ | 山田将棋 ○ | SPEAR ○ | きのあ ○ | Blunder ○ | 6勝3敗 | 6位 |
惜しくも決勝には行けませんでしたが裏街道の宿命ですね。2次予選6位と望外の好結果でした。